レフティモンスター
今回はややオカルトテイストな話になるんですが、
小学生の時に、同級生の友達が取り憑かれたことがあったんですよ。
当時僕は人数ギリギリの弱小バスケ部に所属していまして、
その弱小っぷりといったら女子バスケ部との練習試合で普通に負けるくらいです。
(↑これバスケ経験者ならどれだけ悲惨な状況か分かってくれると思います)
まあそんな部活なので当然真面目に練習しているわけがなく、
顧問の久保先生(二十代前半、金髪ピアス)からして
「真の教育者には教員免許は必要ない」
との
完全に学級文庫のブラックジャックに影響された信念から
授業を受け持たずプールの管理人に甘んじている
気のいい兄ちゃんでした。
ある日の部活後に、
その久保先生が突然部員を集めて、
「みんな最近頑張ってるから肝試しに行こう」
と意味不明ながら小学生のテンションがぶち上がることを言い出しました。
ただ、先生は何かのテレビ番組で見たとかでもう行き先を決めていたんですが、
そこが当時小4の僕でも知ってるぐらいの相当やばい心霊スポットだったんですね。
戦争当時の激戦区に当たる場所とのことで、
県内の心霊スポットでも1、2を争うぐらい危険だという噂でした。
これはシャレにならんと判断した僕は
「塾なので帰ります」
とバレバレの嘘を男らしく言い放ち帰宅しました。
つられてビビって帰る子も多く、
結局最終的な参加者は男女4、5名くらいでしたね。
で、
翌日の部活で早速、勇敢にも肝試しに参加した
名喜(なか)君に
「昨日肝試しどうだったー?」
と質問したんですが、
なか君の様子が明らかにおかしいんですよ。
目の焦点はあっていないし、ボーッとしていてだるそうにしていました。
一応頷くくらいの意思表示はできていた記憶があります。
僕は最初、なか君がふざけていると思ったので
その異常な立ち振る舞いをスルーしていたんですが、
練習が始まってすぐに部の全員が彼の明らかな異変に気づきました。
というのも
なか君の利き手が逆になっていたんですよ。
彼は部でも貴重なサウスポー(左利き)だったんですが、
その時なぜか右手でシュートを打っており、
しかもスパスパ決めていたんですね。
明らかにおふざけでは出せない決定力でした。
「これはやばいんじゃないか」
ということで即、練習が中断されまして
なか君をユタにみてもらうことになりました。
ユタというのは修行で霊的な力をつけた
その道専門の女性のことで(ほぼ全員おばあちゃんです)、
割と沖縄にはたくさんおり、友達の誰々のおばあちゃんがユタとか、
地域密着でやってましたね。
その時も部員の親戚にユタがいるということで早速みてもらえることになりました。
ここからは後で久保先生から聞いた話になるんですが、
ユタのおばあちゃんはなか君を一目見るなり、
「マブヤー(魂)落としてる!」
と言い放ったそうです。
その後
「ちょっと拾ってくるさー」
と原付で心霊スポットに出かけて行き、
小一時間ほどでマブヤーを拾ってきてなか君に戻したとのことでした。
なか君はすぐに正気に戻りその後も部のエースとして活躍しました。
もちろん利き腕も元の左に戻ってましたよ。
今ではなんとなく笑える不思議な事件でしたが、
僕が子どもながらに衝撃だったのは、
魂って財布とか携帯みたいに落としたり拾ったりできるんだ!
ってことでしたね。
しかも原付で拾ってきてますからね。
両手がふさがっているのでスペース的にユタのおばあちゃんは、
完全にバイクのメットインに魂を入れて運んできた気がするのですが、
参考文献「幽遊白書」冨樫義博著
専門家の海堂さんも
「魂めちゃくちゃもろいわ」
と発言しているんですけど
なか君の魂大丈夫だったんでしょうか?